老々介護と認認介護の問題点

老老介護や認認介護は、介護をする側もされる側も共に高齢者であるため、特有の問題が発生しやすい状況です。以下では、その具体的な問題点について詳しく解説します。

1. 介護疲れ、共倒れのリスク

介護疲れとは、介護者が身体的・精神的に疲弊し、日常生活に支障をきたす状態を指します。老老介護や認認介護では、介護者自体が高齢であるため、体力や健康状態が若い介護者に比べて劣っていることが多いです。これにより、長期間にわたる介護が大きな負担となり、疲労が蓄積しやすくなります。さらに、介護に伴うストレスや睡眠不足が重なると、介護者の健康が損なわれ、要介護者と共に倒れてしまう、いわゆる「共倒れ」のリスクが高まります。

具体例としては、介護者が自分の持病の悪化や怪我を抱えたまま介護を続けることで、最終的に自らも要介護状態に陥ることが挙げられます。例えば、腰痛や関節炎を抱えた介護者が、無理をして重い要介護者を移動させる作業を続けると、その症状が悪化し、最終的には介護ができなくなることがあります。

2. 不適切な介護

高齢の介護者は、体力や認知力の低下から、介護方法が不適切になることがあります。例えば、介護を行うための力が不足しているために、介助が十分に行えず、要介護者が転倒して怪我をする可能性が高くなります。また、認知症のある介護者が適切な介護手順を理解・実行できず、要介護者に対して不適切な対応をしてしまうこともあります。

これらの不適切な介護は、単なるミスや不注意で済まされる問題ではなく、要介護者の生活の質を大きく損ない、最悪の場合、生命に関わる重大な事態を招くこともあります。例えば、誤った薬の投与や食事の提供が命の危機を招く可能性があります。

3. 社会的孤立と詐欺被害

老老介護や認認介護において、介護者と要介護者の双方が社会とのつながりを失いやすくなります。介護に追われて外出の機会が減少し、友人や地域との交流が減少することで、社会的に孤立する傾向があります。この孤立が進むと、詐欺被害に遭いやすくなることがあります。例えば、悪質な訪問販売や詐欺的な投資話などに引っかかりやすくなるのです。

また、孤立した環境では、介護者が外部のサポートを受ける機会も減り、結果として不適切な介護が長期にわたって続くことになります。これが、要介護者の生活環境や健康にさらに悪影響を及ぼします。

4. 精神的な負担と認認介護のリスク

介護には、肉体的な負担だけでなく、精神的な負担も大きく関わってきます。特に認知症のある要介護者を介護する場合、日々の介護の中で混乱や苛立ちが生じ、介護者が精神的に追い詰められることがあります。このような状況が続くと、介護者自身も認知症を発症し、認認介護のリスクが高まります。

認認介護では、認知症のある高齢者同士が介護を行うため、適切な介護ができないばかりか、日常生活がさらに混乱し、危険な状況が増える可能性があります。例えば、薬の管理ができずに服薬を忘れてしまったり、逆に過剰に薬を飲んでしまうなどの問題が発生することがあります。


まとめると、老老介護や認認介護の問題点は、介護者と要介護者の両方にとって深刻なリスクを伴うものです。介護者の疲弊や不適切な介護、社会的孤立、そして精神的な負担による認認介護のリスクが挙げられます。これらの問題を未然に防ぐためには、早期の相談や適切な支援の利用が不可欠です。介護を受ける側も、提供する側も、健康で安全な生活を送るために、周囲の助けやサービスを積極的に活用することが求められます。