幻視の症状と対応方法とは

幻視とは、実際には存在しないものが見える現象のことを指します。特に高齢者や認知症を患う方に多く見られる症状であり、本人にとっては非常にリアルな体験となります。適切な対応をすることで、本人の不安や混乱を和らげることが可能です。本稿では、幻視への対応方法について解説します。

幻視の症状と原因

1. 幻視の症状

幻視は、さまざまな形で現れることがあります。具体的には、以下のような例が挙げられます。

  • 実際にはいない人や動物が見える
  • 影や模様が人の形に見える
  • 壁や天井に模様や文字が浮かび上がるように見える
  • 物が動いているように見える

これらの幻視は、本人にとって非常にリアルに感じられるため、驚きや恐怖、不安を引き起こすことがあります。

2. 幻視の主な原因

幻視の原因はさまざまですが、主に以下のような要因が関係しています。

(1) 認知症 レビー小体型認知症(DLB)では、比較的初期の段階からリアルな幻視が現れることが多いとされています。特に人物や小動物の幻視が典型的な症状として知られています。

(2) 精神疾患 統合失調症やうつ病などの精神疾患に伴い、幻視が発生することがあります。精神疾患の場合は、幻視とともに幻聴や妄想などの症状も併発することが多いです。

(3) 薬の副作用 抗不安薬や睡眠薬、抗精神病薬、抗てんかん薬などの一部の薬剤は、幻視を引き起こす可能性があります。薬の影響が疑われる場合は、医師に相談することが重要です。

(4) 視覚障害 視覚情報の処理がうまくいかない場合にも幻視が発生します。例えば、チャールズ・ボネット症候群では、視力が低下した人が実際には存在しない映像を視覚的に知覚することがあります。

(5) 睡眠障害や極度の疲労 極端な睡眠不足や強い疲労により、意識がもうろうとする状態では幻視が現れることがあります。また、睡眠時幻覚(入眠時・覚醒時幻覚)として、寝入りばなや目覚めた直後に幻視を経験することもあります。

(6) 神経疾患や代謝異常 パーキンソン病や脳卒中、てんかんなどの神経疾患、または低血糖や肝性脳症などの代謝異常が原因となることもあります。

幻視への対応方法

1. 否定せず受け入れる姿勢

幻視を訴える本人に対して、「そんなものは見えない」「嘘をついているのではないか」と頭ごなしに否定することは避けましょう。本人にとっては実際に見えているため、否定されることで不安や孤独感が増す恐れがあります。まずは、本人の話に耳を傾け、「そうなんだね」「どんなふうに見えるの?」と共感を示すことが大切です。

2. 安心感を与える

幻視の内容によっては、本人が恐怖を感じたり興奮したりすることがあります。落ち着いてもらうためには、優しく声をかける、手を握る、穏やかに接するなど、安心感を与える対応が有効です。また、本人が嫌がるものが見えている場合は、「大丈夫、今片付けるね」と言いながら、何かを払う動作をすることで安心させることができます。

3. 環境を整える

幻視は暗い場所や見間違えやすい環境で起こりやすいため、部屋の照明を明るくし、整理整頓を心がけることが重要です。具体的には、以下のような工夫が有効です。

  • カーテンの揺れや壁のシミが影に見えないようにする
  • 物が雑然と置かれている環境を避け、見通しをよくする
  • 日中は自然光を取り入れ、夜間は十分な照明を確保する

4. 医療機関への相談

幻視が頻繁に起こる場合や、本人の生活に支障をきたすようであれば、医療機関への相談が必要です。精神科や心療内科では、幻視の原因となる疾患の診断・治療が可能です。特にレビー小体型認知症では幻視が典型的な症状として現れることが多いため、適切な診断を受けることが重要です。

5. 薬の副作用の確認

認知症の治療薬や抗不安薬、睡眠薬などの副作用として幻視が現れる場合があります。もし服用中の薬の影響が疑われる場合は、自己判断で中止せず、医師に相談することが望ましいです。

まとめ

幻視は、本人にとって現実そのものとして認識されるため、適切な対応が求められます。否定せずに受け入れ、安心感を与え、環境を整えることで、本人の不安を軽減することができます。また、頻繁に幻視が現れる場合には、専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。家族や介護者が正しい対応を心がけることで、本人の生活の質を向上させることができるでしょう。

窒息時の対応について

窒息は、気道が異物によって塞がれ、呼吸ができなくなる状態を指します。適切な対応を迅速に行うことで、重篤な後遺症や死亡を防ぐことができます。窒息時に訪問介護士や訪問看護師、ご家族はどのように対応したらよいのでしょうか。特に乳幼児や高齢者は窒息のリスクが高いため、対応方法を理解し、常に備えておくことが重要です。

窒息の兆候

窒息の早期認識が重要です。以下のような兆候が見られた場合、速やかに対応を開始しましょう。

  • 咳き込みが激しく、異物を排出しようとしている
  • 声が出せない、または非常にかすれる
  • 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという音)が聞こえる
  • 顔色が青白くなる(チアノーゼ)
  • 窒息サイン(喉を手で掴む仕草)を示している

窒息時の対応ステップ

1. 早期認識と周囲への知らせ

患者が窒息していることを速やかに確認し、周囲に助けを求めます。ナースコールや救急対応システムを活用し、医療従事者へ連絡します。

2. 咳を促す(軽度の場合)

患者が自力で咳をしている場合は、そのまま咳を続けさせます。強い咳ができる場合は、異物が自然に排出される可能性があります。

3. 異物を除去する

咳で異物が取り除けない場合や重度の窒息が疑われる場合は、以下の方法を行います。

  • 腹部突き上げ法(ハイムリック法)(成人・小児)
    1. 患者の背後に立つ
    2. 両腕を腹部に回し、片手で握りこぶしを作る
    3. こぶしを臍のすぐ上に置き、もう一方の手で支える
    4. 力強く素早く、上向きに押し上げる
    5. 異物が排出されるまで繰り返す
  • 背部叩打法(成人・小児)
    1. 患者の頭を下げる
    2. 手の付け根で両肩甲骨間を力強く叩く
    3. 異物が取れるか、患者の反応がなくなるまで続ける
  • 乳児(1歳未満)の場合
    1. 乳児をうつ伏せにし、大腿の上に乗せる
    2. 肩甲骨の間を5回叩く(背部叩打法)
    3. 仰向けにして胸骨圧迫の要領で5回押す(胸部突き上げ法)
    4. これを繰り返す

4. 意識がなくなった場合の対応

意識を失った場合、速やかに心肺蘇生(CPR)を開始します。

  • 胸骨圧迫を開始(成人は5cmの深さで30回)
  • 人工呼吸を行うたびに異物が見えるか確認し、取り除く

5. 医療機関の受診

異物が除去された場合でも、腹部突き上げ法による内臓損傷の可能性があるため、医師の診察を受けることが推奨されます。

まとめ

窒息は一刻を争う事態です。早期認識と適切な処置を行うことで、救命率を向上させることができます。日頃から緊急対応の訓練を行い、万が一に備えましょう。

褥瘡予防のための「背抜き」について

背抜きとは?

背抜きとは、電動ベッドなどで背を上げた際や、移乗・体位変換後に生じる皮膚や筋肉の圧迫感・違和感を取り除くケア方法です。ベッドと体の間にできるずれを解消し、シーツや衣類のしわを整えることで、圧迫を軽減し快適な姿勢を維持することができます。

背抜きの効果

1. 褥瘡(床ずれ)の予防

長時間同じ姿勢を続けると血行不良が起こり、褥瘡が発生しやすくなります。特にベッドの背上げ時に生じる「ずれ力」は、仙骨部やかかとに強い圧力をかけるため、適切な背抜きを行うことで圧力を軽減し、褥瘡予防に役立ちます。

2. 誤嚥の予防

背抜きをしないと、不自然な体勢になり、誤嚥のリスクが高まることがあります。姿勢を整えることで、安全に食事をとることができ、誤嚥性肺炎のリスクを低減できます。

3. 違和感・不快感の軽減

ベッドの背上げや体位変換時に、シーツや衣類のしわが圧迫感を生じさせます。背抜きを行うことで、これらの違和感を解消し、より快適な状態を維持できます。

背抜きの方法

手順1:背中のずれを解消

  1. 片手を肩の下に入れ、わずかに持ち上げる。
  2. もう片方の手で服やシーツのしわを伸ばす。

手順2:腰のずれを解消(尻抜き)

  1. 片手で腰を軽く持ち上げる。
  2. もう片方の手を差し込み、シーツや衣類のしわを整える。

手順3:かかとのずれを解消(足抜き)

  1. 片手でかかとを支える。
  2. もう片方の手でズボンの裾やシーツを整える。

背抜きに役立つ介護用品

背抜きを行う際、介護者と要介護者双方の負担を軽減するため、以下のような介護用品が活用できます。

  • ポジショニンググローブ:摩擦を減らし、スムーズなケアが可能。
  • ポジショニングシート:滑りやすい素材で、ずれを軽減しながら楽に姿勢を調整できる。
  • スライドシート:移乗や姿勢調整を容易にするため、介護現場で広く利用されている。

まとめ

背抜きは褥瘡予防に効果的な方法であり、姿勢を整えることで誤嚥リスクの軽減や快適性の向上にも寄与します。寝たきりの方や電動ベッドを使用する場合には特に重要なケアとなります。背抜きだけでは十分な血流改善ができない場合もあるため、マッサージや体位変換と組み合わせることが推奨されます。

食事中のむせに対する対策と工夫

高齢者の中には食事中にむせることが少なくありません。むせの頻度が増えると、誤嚥や肺炎のリスクも高まります。本記事では、むせの原因を理解し、食事の工夫をすることで、安全に食事を楽しむ方法を紹介します。


むせの原因

1. 誤嚥 飲食物が誤って気管に入ることを誤嚥といいます。気管に入った異物を排出しようとする反射が「むせ」です。

2. 喉頭侵入 声帯より手前の気管近くに飲食物が入ってしまう状態です。誤嚥ほどではないものの、むせを引き起こします。

3. 咽頭残留 嚥下後も咽頭に食べ物が残ることがあります。これが原因でむせることがあります。


むせを防ぐ食事の工夫

1. むせにくい食事とは?

むせる食品を完全に避けるのではなく、調理法を工夫し、食べやすくすることが重要です。

むせやすい食品原因対応策
水、お茶、みそ汁、ジュースサラサラした液体でまとまりにくいとろみをつける、ゼリー状にする
雑炊、高野豆腐、フルーツ液体と固形物が混ざっているとろみをつける、ペースト状にする
ひき肉、かまぼこ、みじん切り野菜パラパラしてまとまらないとろみをつける、つなぎを利用する
きな粉、粉砂糖粉が喉に張り付く水分と混ぜる
酢の物、柑橘系フルーツ酸味が喉を刺激する酸味を薄める、ゼリーにする
熱いお茶、味噌汁湯気が喉を刺激する冷ましてから飲む
麺類噛み切れない・汁がサラサラ短く切る、とろみのあるつゆに絡める
焼き芋、パン類パサパサして喉に詰まりやすいバターやマヨネーズを加える、スープと一緒に食べる

2. 家族と同じ料理を工夫する

シチューやカレー、あんかけなど、とろみのある料理を活用すると、家族と同じ食事を無理なく楽しめます。

3. 市販のとろみ材を活用する

市販のとろみ材を利用することで、手軽に飲み物や食事にとろみを加えられます。

4. 飲み物のとろみ調整

適切なとろみをつけるためには、ダマができないように混ぜることが重要です。

注意!

  • とろみが強すぎると喉に張り付きやすくなり、かえって飲み込みづらくなります。
  • 初めてとろみをつける場合は、専門家の指導を受けましょう。

食べ方の工夫

1. 正しい姿勢で食べる

  • 背もたれのある椅子に深く腰掛ける
  • かかとを床につける
  • 股関節とひざを直角にする
  • 顎を引き、前かがみの姿勢を保つ
  • テーブルの高さを適切に調整する

2. 食事環境の整備

  • 一口量が多くならないよう、適切なサイズのスプーンを使う
  • 周囲の雑音を減らし、食事に集中できる環境を整える
  • 飲み込みづらいものと飲み込みやすいものを交互に食べる(交互嚥下)

食事を楽しむ工夫

1. 「食べない・動かない」の悪循環を防ぐ

食べる量が減ると体力が低下し、さらに食欲が落ちるという悪循環に陥りがちです。適切な食事と運動を心がけましょう。

2. 市販の介護食品を活用

適度なとろみがついた食品や、歯茎でつぶせる柔らかさの食品を取り入れることで、食事のバリエーションが広がります。

3. 外食を楽しむ

最近では、事前に連絡をすれば嚥下困難な方向けのメニューを提供するレストランも増えています。家族や友人との外食を楽しむことで、社会とのつながりを保ちましょう。

4. 特別な日の食事を工夫

おせち料理やケーキなど、伝統的な料理を食べやすい形で提供するお店もあります。特別な日には思い出とともに食事を楽しみましょう。


まとめ

むせや誤嚥を防ぐためには、食事の工夫と正しい食べ方が重要です。食事は栄養を摂るだけでなく、家族や社会とのつながりを深める大切な時間です。食べやすい食事を工夫しながら、毎日の食事を楽しみましょう。

高齢者の着替え拒否の原因と対策

日常生活の中で、着替えをする場面は多くあります。しかし、高齢者の中には、さまざまな理由から着替えを拒否することがあります。その結果、ご本人やご家族にとって負担が大きくなることも。本記事では、着替え拒否の原因とその対策について詳しく解説します。

1. 着替え拒否の背景を理解する

着替えはプライベートな行為であり、認知機能を必要とする複雑な作業です。例えば、パジャマのままで過ごしたり、外出着と部屋着の区別がつかなくなったりすることが、認知症の初期症状として現れることがあります。

また、他人に手伝われることが自尊心を傷つける場合も。子ども扱いされているように感じ、拒否反応を示すことも少なくありません。そのため、言葉遣いや態度に注意しながら、尊厳を保つ介助が求められます。


2. 着替え拒否の主な原因と対策

原因1:着替えの仕方がわからない

認知症の影響で、

  • どの順番で服を着るのかわからない(実行機能障害)
  • どのように服を着ればいいのかわからない(失行)
  • 服を脱いでいたのか、着ていたのか忘れる(記憶障害) といった問題が生じることがあります。

対策:

  • 服を順番に並べて、上から手に取れば正しく着られるように工夫する
  • かぶりの服が難しい場合は、前開きの服を用意する
  • 必要な部分だけ手伝い、できるだけ自分でできるように促す

原因2:介助されることで自尊心が傷つく

他人に手伝われることがストレスになり、拒否につながる場合があります。

対策:

  • 「ついでに手伝っている」という状況を作る(例:洗濯物を片付けるフリをしながら見守る)
  • 「暑いから」「寒いから」など、気候を理由にして着替えを促す
  • できることを本人に任せ、指示ではなく提案の形で声かけをする

原因3:集中力が続かない

高齢者は集中力が低下し、途中で嫌になってしまうことがあります。特に冬場は衣類の種類が増え、着替えに時間がかかるため、疲れやすくなります。

対策:

  • 一度にすべて着替えさせるのではなく、分割して着替えを促す
  • ボタンが多い服を避け、ワンタッチテープ式の衣服を選ぶ
  • ボタンを全部留めずに、一番上と下だけ介助する

原因4:身体的な問題がある

関節が動かしにくい、バランスを崩しやすいといった身体的要因が影響している場合もあります。

対策:

  • 伸縮性のある服や着脱しやすい衣類を選ぶ
  • 転倒防止のため、手すりを設置する
  • 介護専門職に相談し、痛みの少ない着替えの方法を教えてもらう

3. 介護者が気をつけるべきこと

  • 叱らない・急かさない 拒否されても、イライラして強制すると逆効果。本人のペースを尊重しましょう。
  • 穏やかな声かけを心がける 「ちゃんとできますか?」ではなく、「このボタンを留めてみる?」と優しく声をかける。
  • 環境を整える 着替えやすい服を用意し、必要に応じて福祉用具を活用する。

着替えの拒否は、さまざまな要因が絡み合って起こります。原因を理解し、本人の尊厳を守りながら、無理なくサポートしていきましょう。

高齢者・要介護者の水分補給:拒否された時の対策とおすすめの飲み物

高齢者や要介護者にとって、水分補給は健康を維持するために非常に重要です。水分不足は、めまいや頭痛、脱水症状など、さまざまな体調不良を引き起こす可能性があります。この記事では、介護における水分補給の重要性、水分補給を拒否された場合の対処法、おすすめの飲み物などを詳しく解説します。

介護において水分補給が必要な理由

私たちの体の大部分は水分で構成されており、水分は体の機能を正常に保つために不可欠です。特に高齢者は、以下のような理由から水分不足になりやすい傾向があります。

  • 筋肉量の減少: 筋肉は水分を蓄える役割を果たしますが、高齢になると筋肉量が減少し、体内に蓄えられる水分量も減少します。
  • 腎機能の低下: 腎臓は水分調節に重要な役割を果たしますが、高齢になると腎機能が低下し、水分を保持する能力が低下します。
  • 喉の渇きを感じにくくなる: 高齢になると、喉の渇きを感じる機能が低下し、水分不足に気づきにくくなります。

これらの理由から、高齢者は脱水症状を起こしやすく、注意が必要です。

一日に必要な水分量

高齢者や要介護者が1日に必要な水分量は、約1,000〜1,500mlと言われています。ただし、個人の体重や活動量、健康状態によって異なるため、医師や看護師に相談して適切な量を把握することが大切です。

水分補給を拒否された場合の対処法

高齢者や要介護者の中には、さまざまな理由で水分補給を拒否する方がいます。そのような場合は、以下の方法を試してみましょう。

  • 理由を丁寧に聞く: なぜ水分を摂りたくないのか、理由を丁寧に聞き取り、不安や不快感を取り除くように努めます。
  • 飲みやすい工夫: 嚥下機能が低下している場合は、とろみをつけたり、ゼリー状にしたり、飲みやすい温度に調整したりします。
  • 好きな飲み物: 本人の好みに合わせた飲み物を提供し、水分補給を促します。
  • 時間と回数: 一度に大量の水分を摂るのが難しい場合は、時間を決めて少量ずつ、こまめに水分補給を行います。
  • 食事からの水分補給: スープや味噌汁、果物など、水分を多く含む食品を積極的に取り入れます。
  • 安心できる環境: トイレの心配がある場合は、ポータブルトイレや尿漏れパッドを用意し、安心して水分補給できる環境を整えます。

水分補給で注意すべき点

  • 姿勢: 誤嚥を防ぐために、前傾姿勢で水分補給を行います。
  • 嚥下障害: 嚥下障害がある場合は、とろみをつけるなどの工夫が必要です。
  • 塩分: 発汗が多い場合は、水分だけでなく塩分も補給します。
  • 脱水症状: 脱水症状のサイン(口渇、尿量減少、意識混濁など)に注意し、早めの対策を心がけます。
  • 過剰摂取: 水分の過剰摂取は、水中毒を引き起こす可能性があります。医師や看護師に相談し、適切な水分量を把握しましょう。

水分補給におすすめの飲み物と避けるべき飲み物

おすすめの飲み物:

  • 水、麦茶
  • 経口補水液
  • 野菜ジュース、フルーツジュース
  • 牛乳、ヨーグルト、甘酒

避けるべき飲み物:

  • カフェインを多く含む飲み物(コーヒー、紅茶など)
  • アルコール飲料
  • 炭酸飲料

これらの飲み物は利尿作用や、アルコール分解に水分を大量に消費してしまう為、水分補給には不向きです。

食事からの水分補給

水分は飲み物だけでなく、食事からも摂取できます。以下の食品を積極的に取り入れましょう。

  • おかゆ、雑炊
  • スープ、味噌汁
  • 果物(スイカ、みかんなど)
  • ゼリー、プリン

まとめ

高齢者や要介護者の水分補給は、健康維持に欠かせません。適切な水分補給の方法を理解し、安全で快適な生活をサポートしましょう。

延長可能時間変更のお知らせ

平素より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。

4月より、お客様の利便性向上のため、延長可能時間の単位を変更いたします。
従来は 30分単位 での延長でしたが、15分単位 での延長が可能となります。

今後も、より快適にご利用いただけるよう努めてまいりますので、引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

高齢者の仙骨座りとは?原因と対策を徹底解説

1. 仙骨座りとは?

仙骨座りとは、椅子や車椅子に座る際、骨盤が後傾し、仙骨が座面に直接接触して支えている座位姿勢のことを指します。

この座り方は「ずり落ちそうな座り方」とも言われ、長時間続くと背骨への負担が増し、胸椎や腰椎の変形、褥瘡(床ずれ)のリスクが高まります。特に介護施設などで仙骨座りのまま長時間過ごすと、身体の変形や皮膚トラブルを引き起こしやすくなるため注意が必要です。


2. 高齢者の仙骨座りと骨盤の関係

仙骨は脊柱の最下部に位置し、骨盤の一部を形成する骨です。通常の座位姿勢では、仙骨と座骨に均等に体重がかかります。しかし、仙骨座りになると仙骨に過度な圧力が集中し、褥瘡の原因となります。

また、高齢者の場合、寝たきりを防ぐための離床が推奨されていますが、車椅子での座位環境が適切でないと、仙骨座りが慢性化し、二次的な健康被害を引き起こすことがあります。


3. 仙骨座りのリスク(褥瘡・誤嚥など)

① 姿勢の悪化

仙骨座りが続くと、体幹の筋緊張が亢進し、より不良姿勢を助長します。これにより、呼吸や内臓機能の低下、腰痛の発生リスクが高まります。

② 褥瘡の発生

長時間仙骨座りのままでいると、仙骨部への圧力が高まり、皮膚の血流が悪化することで褥瘡が発生しやすくなります。

③ 誤嚥のリスク

仙骨座りの姿勢で食事をすると、頭部が後方に傾きやすくなり、誤嚥のリスクが上昇します。誤嚥性肺炎の原因にもなるため、座位姿勢の調整が重要です。


4. 仙骨座りの原因

仙骨座りの主な原因として以下が挙げられます。

  • 車椅子のサイズが適切でない
  • 座面の奥行きが深すぎる
  • フットレストに足が届かず、ぶらぶらしている
  • 円背(背中が丸くなる)による姿勢の崩れ
  • 筋力低下や関節の可動域制限

特に車椅子の選定が適切でない場合、無意識のうちに仙骨座りになりやすくなります。


5. 仙骨座りの対策・リハビリ方法

仙骨座りを防ぐためのポイントは以下の通りです。

  • 適切な車椅子の選定と調整
  • クッションの活用による座位姿勢の補助
  • 座位の評価と定期的なリハビリ
  • 体幹や下肢の筋力強化トレーニング

6. 仙骨座り対策としての車椅子選びのポイント

車椅子選びのポイント

  • 座面の奥行きを適切に調整(深すぎると後傾しやすい)
  • 足がフットレストにしっかり乗るように調整
  • 背もたれの角度を適切に設定
  • ずれ防止のための補助具(クッションなど)を活用

7. 仙骨座り対策としてのクッション(シーティング)のポイント

適切なクッションを使用することで、仙骨座りを予防できます。

クッション選びのポイント

  • 滑りにくい素材のクッションを選ぶ
  • 体圧分散に優れたものを使用する
  • 厚みがありすぎると逆に不安定になるため、適切な高さを選ぶ

特に車椅子の座面が硬く、滑りやすい素材の場合、適切なクッションを導入することで座位姿勢の安定が期待できます。


8. 仙骨座りを改善するための評価とリハビリ方法

仙骨座りの評価方法

  1. 平らな座面に背もたれなしで座れるかを確認
  2. 前かがみの動作がスムーズにできるかを評価
  3. 骨盤の可動域をチェック

リハビリ方法

  • 骨盤前傾のトレーニング(端座位で前かがみになる練習)
  • 体幹・下肢の筋力強化(スクワットやストレッチ)
  • リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士)による姿勢調整

9. まとめ

高齢者の仙骨座りは、長時間続くと健康リスクが高まり、褥瘡や誤嚥の原因になります。そのため、

  • 適切な車椅子の選定
  • クッションなどの補助具の活用
  • 定期的な座位姿勢の評価とリハビリ

を行うことが重要です。

介護やリハビリの現場で適切な対策を講じることで、高齢者が快適に過ごせるようサポートしていきましょう。

「寝たきり介護」をするときの5つの注意点

寝たきりの高齢者は、自分の意思で身体を動かすことが困難なため、適切な知識がないと症状の悪化を招くことがあります。ここでは、自宅で介護する際に注意すべき5つのポイントを紹介します。

1. 「床ずれ」に注意する

寝たきりの状態では、同じ姿勢が続くことで「床ずれ(褥瘡)」が発生しやすくなります。皮膚の一部が持続的に圧迫を受け、循環障害が起こることで壊死してしまう症状です。

床ずれを防ぐためのポイント

  • 2時間ごとに体位交換を行う
  • 身体に合った寝具を使用する
  • シーツをピンと張る
  • 下着やパジャマのゴムが食い込まないようにする
  • 栄養をしっかり摂る

特に高齢者の皮膚はデリケートなので、小さなシワや衣類の締め付けにも注意しましょう。

2. 「廃用症候群」を予防する

長期間寝たきりの状態が続くと、筋力や関節機能が低下し、「廃用症候群(生活不活発病)」を引き起こします。

予防のための対策

  • できるだけ短い距離でも歩くようにする
  • 体位交換を定期的に行う
  • 座る時間を増やす
  • 関節をゆっくり動かす
  • ベッド上でできる簡単な運動を行う(足首を回す、手足を曲げ伸ばしする など)

3. 食事時の「誤嚥」を防ぐ

高齢者の食事では、誤嚥による肺炎のリスクが高まります。誤嚥とは、飲み込む力が衰え、食道を通るべきものが気管に入ってしまう状態です。

誤嚥を防ぐためのポイント

  • 正しい姿勢で食事をする(椅子に深く腰掛け、膝は90度に曲げる)
  • ベッド上の場合、リクライニング角度を45〜80度に調整する
  • 食事前に排泄を済ませ、口腔内を清潔にする
  • できるだけ自分で食べるように促す

また、食欲が低下している場合は、噛む力や飲み込む力が衰えている可能性があるため、食事の形態を工夫することも大切です。

4. 「排泄ケア」は自尊心を尊重する

寝たきりの方の排泄介助では、プライバシーや自尊心を傷つけないよう注意が必要です。

排泄ケアのポイント

  • 排泄を促す声掛けをし、ルーティン化する(食前後や就寝前など)
  • できることは自分でしてもらう
  • 便器が使える場合は可能な限り利用する
  • おむつ交換はスムーズに行う

おむつ交換の際は、肌が湿ったままにならないようにしっかり拭き取ることが大切です。また、便が尿道に入らないよう拭き方にも注意しましょう。

5. 身体を清潔に保ち「床ずれ」を防ぐ

寝たきりの方は入浴が困難になるため、皮膚免疫の低下による床ずれや感染症のリスクが高まります。

身体を清潔に保つ方法

  • 蒸しタオルで身体を拭く「清拭(せいしき)」を行う
  • 介護保険サービスを活用し「訪問入浴介護」を利用する

清拭には、血行促進やリラックス効果があり、床ずれの早期発見にもつながります。また、訪問入浴介護を利用すると、看護師のサポートを受けながら入浴できるため安心です。


まとめ

寝たきり介護では、

  1. 床ずれの予防
  2. 廃用症候群の防止
  3. 誤嚥のリスク管理
  4. 排泄ケアの工夫
  5. 身体の清潔維持

が重要なポイントとなります。

ご家族や介護者にとっても大変な負担がかかるため、介護サービスの活用も視野に入れながら、無理のない介護を心がけましょう。

【シーティングとは?】円背姿勢の改善と快適な座位姿勢のポイント

シーティングとは?

座位姿勢が悪いと、体にさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。シーティングとは、長時間座位を続ける方の心身機能や生活状況を考慮し、良好な座位姿勢が確保できるように、車椅子や椅子を調整することを指します。

今回は、特に円背姿勢(背中が丸くなる姿勢)の方に向けたシーティングについて解説します。


円背姿勢の方のシーティング

円背姿勢とは?

円背姿勢の方は、背骨の変形や背中の筋力低下により、背中を丸めた姿勢で座っています。

この姿勢は一見楽なように思えますが、長時間続くと以下のような影響があります。

  • 胸部や腹部が圧迫され、呼吸がしづらくなる
  • 消化吸収が悪くなる
  • 首の後ろの筋肉に負担がかかり、疲れやすくなる
  • 背骨がさらに曲がり、前かがみの姿勢が悪化する
  • 骨盤が後ろに倒れやすく、お尻が滑りやすくなる

理想的な座位姿勢とは?

S字カーブを描いた姿勢が理想的です。この姿勢を保つことで、

  • 背骨を支える筋肉が効率よく働き、疲れにくい
  • 重心線が耳・肩・骨盤を通り、バランスが安定する
  • 手や体を前方に動かしやすくなり、食事や作業が快適になる

この姿勢をとるためには、座面や背もたれの調整が重要です。


シーティングの方法

理想的な座位姿勢を確保するための調整ポイントは以下の通りです。

  1. 臀部のスペースを確保する
    • 座面にしっかりとお尻が収まるようにする。
  2. 骨盤を安定させる
    • 骨盤が後ろに倒れないように、骨盤の上を押さえるベルトを使用。
  3. 胸を張れるようにする
    • 背もたれの上部を少し緩めることで、胸を自然に張りやすくする。
  4. 背骨のカーブをサポートする
    • 背もたれの調整や、背骨のカーブに合わせた軽いサポートを加える。

アンカーサポート付きのクッションを使用すると、より効果的に姿勢を維持できます。