1. 仙骨座りとは?
仙骨座りとは、椅子や車椅子に座る際、骨盤が後傾し、仙骨が座面に直接接触して支えている座位姿勢のことを指します。
この座り方は「ずり落ちそうな座り方」とも言われ、長時間続くと背骨への負担が増し、胸椎や腰椎の変形、褥瘡(床ずれ)のリスクが高まります。特に介護施設などで仙骨座りのまま長時間過ごすと、身体の変形や皮膚トラブルを引き起こしやすくなるため注意が必要です。
2. 高齢者の仙骨座りと骨盤の関係
仙骨は脊柱の最下部に位置し、骨盤の一部を形成する骨です。通常の座位姿勢では、仙骨と座骨に均等に体重がかかります。しかし、仙骨座りになると仙骨に過度な圧力が集中し、褥瘡の原因となります。
また、高齢者の場合、寝たきりを防ぐための離床が推奨されていますが、車椅子での座位環境が適切でないと、仙骨座りが慢性化し、二次的な健康被害を引き起こすことがあります。
3. 仙骨座りのリスク(褥瘡・誤嚥など)
① 姿勢の悪化
仙骨座りが続くと、体幹の筋緊張が亢進し、より不良姿勢を助長します。これにより、呼吸や内臓機能の低下、腰痛の発生リスクが高まります。
② 褥瘡の発生
長時間仙骨座りのままでいると、仙骨部への圧力が高まり、皮膚の血流が悪化することで褥瘡が発生しやすくなります。
③ 誤嚥のリスク
仙骨座りの姿勢で食事をすると、頭部が後方に傾きやすくなり、誤嚥のリスクが上昇します。誤嚥性肺炎の原因にもなるため、座位姿勢の調整が重要です。
4. 仙骨座りの原因
仙骨座りの主な原因として以下が挙げられます。
- 車椅子のサイズが適切でない
- 座面の奥行きが深すぎる
- フットレストに足が届かず、ぶらぶらしている
- 円背(背中が丸くなる)による姿勢の崩れ
- 筋力低下や関節の可動域制限
特に車椅子の選定が適切でない場合、無意識のうちに仙骨座りになりやすくなります。
5. 仙骨座りの対策・リハビリ方法
仙骨座りを防ぐためのポイントは以下の通りです。
- 適切な車椅子の選定と調整
- クッションの活用による座位姿勢の補助
- 座位の評価と定期的なリハビリ
- 体幹や下肢の筋力強化トレーニング
6. 仙骨座り対策としての車椅子選びのポイント
車椅子選びのポイント
- 座面の奥行きを適切に調整(深すぎると後傾しやすい)
- 足がフットレストにしっかり乗るように調整
- 背もたれの角度を適切に設定
- ずれ防止のための補助具(クッションなど)を活用
7. 仙骨座り対策としてのクッション(シーティング)のポイント
適切なクッションを使用することで、仙骨座りを予防できます。
クッション選びのポイント
- 滑りにくい素材のクッションを選ぶ
- 体圧分散に優れたものを使用する
- 厚みがありすぎると逆に不安定になるため、適切な高さを選ぶ
特に車椅子の座面が硬く、滑りやすい素材の場合、適切なクッションを導入することで座位姿勢の安定が期待できます。
8. 仙骨座りを改善するための評価とリハビリ方法
仙骨座りの評価方法
- 平らな座面に背もたれなしで座れるかを確認
- 前かがみの動作がスムーズにできるかを評価
- 骨盤の可動域をチェック
リハビリ方法
- 骨盤前傾のトレーニング(端座位で前かがみになる練習)
- 体幹・下肢の筋力強化(スクワットやストレッチ)
- リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士)による姿勢調整
9. まとめ
高齢者の仙骨座りは、長時間続くと健康リスクが高まり、褥瘡や誤嚥の原因になります。そのため、
- 適切な車椅子の選定
- クッションなどの補助具の活用
- 定期的な座位姿勢の評価とリハビリ
を行うことが重要です。
介護やリハビリの現場で適切な対策を講じることで、高齢者が快適に過ごせるようサポートしていきましょう。